【感想】蝶のゆくえ 葉室麟 著 [お勧めの本]
葉室燐先生の『蝶の行方』を読みました。
お正月に読むのにぴったりの本だったなーと思っています。
登場人物たちが有名な人ばかり。。。。。
歴史好きにはたまらない作品です。
女性の生き様が中心に描かれているのですが、美しい女性たちに、
詩人、作家、画家、彫刻家達が翻弄されていきます。
どこか女性たちはどこか潔く(全員有名でしかも美人な芸術家でした)、
男性たちは純真(彼らも全員有名な芸術家)で、
読み手は、
黒いアゲハ蝶を、ちょっと遠くから眺めているような感じが味わえます。
主人公の旦那様になる方だけが芸術家ではなかった感じです。
主人公の ”りょう” は、女学生時代にアンビシャス・ガールと呼ばれていました。
恋に身を亡ぼす友人たちをみていたせいか、恋愛に対しては自分の心に鎧をまとってしまいます。
ですが、
「自分のことは自分で決める」という信念は貫きます。
”りょう” は実在の人で、本名は、「相馬黒光」さんという女性です。
ご主人は銀座中村屋を買い取り、二人はその後、クリームパンを開発しました。
サロン(中村屋サロン)を作ったり、
亡命したインド独立運動の志士ラース・ビハーリー・ボースを匿ったり活動的に過します。りょうの長女の俊子はそのボーズと結婚します。
その頃から、
中華饅頭、月餅、インド式カリーなどが「中村屋」に登場し、喫茶部も新設されます。
”りょう” を慕う碌山の作品、『女』像は彼女をモデルとしたものだと言われています。
この作品の中でもそのような設定になっています。
感想ですが、
彼女は、一貫して淡々としているのですが、
芸術家たちを支える存在というよりは、芸術家たちを奮い立たせるような女性だなぁと思いました。
このような女性の周りには、才気あふれるパワーが集まってくのは仕方がないことなのだと思います。
女性の力、女性の勇気を感じられました。
歴史の影には、女性があると思います。
どんな女性と出会うかで、男性も人生も変わると思います。
by エミリ (2019-01-05 11:47)